編集日誌

2006-04-02(Sun): 中野昌宏さん、待望の単著刊行

貨幣と精神―生成する構造の謎

ラカン派精神分析学・日本語文献案内で特に知られる社会分析学ウェブサイトを運営する中野昌宏さんの単著『貨幣と精神 ―生成する構造の謎』(ナカニシヤ出版、3150円)が刊行された。

中野さんに初めてメールさせていただいたのは、もう6年か7年前になるだろうか。確か、当時はまだ博士課程の大学院生であったように思う。その後、中野さんは大分大学に着任し、ついに博士論文をベースにした単著の刊行にとたどりついている。

2006-03-19(Sun): 秀逸な名前 ?ありのままの熊本アーカイブス

ありのままの熊本アーカイブスという熊本県が運営するデジタルアーカイブの存在を知った。すみずみまで見渡したわけではないが、よくできていて便利そうだ。さて、名前がすばらしい。「ありのままの熊本アーカイブス」。名は体を現すというほどには、まだアーカイブ自体が発展途上にあるが、「ありのままの」という表現は地域のデジタルアーカイブが目指す方向性をよく伝えている。

都道府県や区市町村がつくっているデジタルアーカイブで、他にどんな秀逸な名前があるだろうか。推薦歓迎(自薦可)。

・ありのままの熊本アーカイブス

http://www.pref.kumamoto.jp/arinomama/

2006-03-20(Mon): インターネットの学術利用と政治との距離

先週のことだが、大学時代の友人から転職し、現在は国会議員の政策担当秘書をしていると知らされた。本誌の記事を欠かさず読んでくれており、内容によっては国会質問の題材にしたいという。彼が補佐する議員の所属政党は私の支持政党ではないが、本誌を役立ててもらえるなら、是々非々で協力していきたい。

1月に国立国会図書館で行われた公開シンポジウム「デジタル時代における図書館の変革」でパネリストとして同席した常世田良さん(日本図書館協会事務次長、元浦安市立図書館長)が図書館界の政治への関わりを説いていたことが印象的だった。インターネットの学術利用という本誌のテーマについても、ときにはそのような可能性を真剣に考えるべきなのかもしれない。

さて、もし本誌の読者に議員や議員秘書の方がいらっしゃれば、必要があればお声がけください。同じように是々非々で協力すべきところは協力します。

・公開シンポジウム「デジタル時代における図書館の変革」

http://www.ndl.go.jp/jp/sym/

2006-03-21(Tue): (やや)魅力的な名古屋大学の求人

別にいますぐ転職を考えているわけではないが、一瞬心が動く求人情報をみた。名古屋大学広報室員と名古屋大学附属図書館研究開発室教員の公募。名古屋大学広報室員は最高で副室長待遇、最長3年契約、最高年収700万円。名古屋大学のサイト構築が主たる業務のようだ。

もう一つの名古屋大学附属図書館研究開発室教員はハイブリッド図書館構築に関する調査研究が主な業務。任期は3年。もっとも研究業績が必要なので、私は応募資格がなさそうですが……。

広報室員は気になる。どれくらいの権限を持たせてもらえるのだろうか。中央省庁や地方自治体で導入が進められているCIO(Chief Information Officer)のような立場であれば、非常に魅力的な仕事だ。一度、大学や研究機関のウェブ活用をトータルにプロデュースしてみたい。

・名古屋大学広報室員公募要項(2006-03-07)

http://www.nagoya-u.ac.jp/info/kouho/060307koubo.pdf【PDF】

2006-03-22(Wed): 広島市デジタル移民博物館の一時閉鎖をめぐって

ブラジルで発行されている日本語とポルトガル語のバイリンガル紙「ニッケイ新聞」が、先日本誌でも紹介した広島デジタル移民博物館の内容に問題が多いことを伝えている。調べてみると、地元の中国新聞も「移民博物館ミス多発 広島市開設」(2006-03-18)と、すでに報道しているようだ。すでに広島市はサイトを一時閉鎖している。

自分にできることの限界があるとは思うが、内容に問題のあるサイトを紹介したことを恥じる。

さて、本誌で紹介する際に、

収集した資料が死蔵されていた状態を思えば、今回の広島市デジタル移民博物館の公開は意義あることといえるだろう。だが、サイトの構成がその意義を損なっている。Flashを多用しすぎており、非常に閲覧しにくい。死蔵されていた資料をせっかく公開するのであれば、一日もはやくサイトをつくりなおしてほしい。

とコメントしている。適切な言い方ではないが、今回の問題発生とサイトの一時閉鎖は良い機会である。広島市には内容はもとより、サイトの構成についても全面的な見直しを図ってほしい。

ところで、一時閉鎖されている広島市デジタル移民博物館のサイトには、

2006-03-23(Thu): コンピュータ史、インターネット史をいろどる重要文献

「マウスの父、ダグラス・エンゲルバート氏インタビュー ?過去の点を結んだ線は、未来に渡る橋になる」(PC Watch、2006-03-22)を読んで、いつも大切だと思いつつも、なかなか実現できずにいることを思い出す。インタビュー記事のなかで、ヴァネバー・ブッシュ(Vannevar Bush)が1945年に発表した論文"As We May Think"について語られている(記事によれば、『ワークステーション原典』(浜田俊夫訳、アスキー出版局、1990年)や『思想としてのパソコン』(西垣通編著訳、NTT出版、1997年)に収められている)。

"As We May Think"のようなコンピュータやインターネットのその後の歴史をつくることになった重要な論文や文書を自分のためのメモとしてきちんと目録にしておかなければいけない。書籍や論文を読むたびに思うことなのだが、ついついなにもしないまま終わってしまう。とりあえず、いまはヴァネバー・ブッシュ(Vannevar Bush)の"As We May Think"を探し出したので、ここにメモしてリンクしておこう。

・「マウスの父、ダグラス・エンゲルバート氏インタビュー ?過去の点を結んだ線は、未来に渡る橋になる」(PC Watch、2006-03-22)

2006-03-24(Fri): 国会図書館改革のその後

毎日新聞(2006年3月20日、朝刊)に「闘論:国会図書館改革 坂本由紀子氏/成田憲彦氏」という記事が掲載されたようだ。すでに「Copy & Copyright Diary」で末廣恒夫さんが紹介・指摘しているが(「国会図書館改革」2006-03-22)、成田憲彦さんの発言に驚かされる。

「国際子ども図書館、関西館など本来の役割を超えて肥大化している機能もある。」

細川内閣で総理秘書官を務め、その後駿河台大学に転じ現在は副学長を務める成田さんだが、元は国立国会図書館の職員として調査立法考査局政治議会課長を務めた人物である。元国会図書館職員がこのような認識を持っているとは心底驚く。2006-02-02(Thu)の編集日誌「国立国会図書館、独立行政法人化構想に接して」で述べたように、国際子ども図書館や関西館は、国立国会図書館法に定められた国立国会図書館の役割であることをあらためて指摘しておきたい。

2006-03-25(Sat): 「機関リポジトリ」のままでよいのか ?訳すことを通した理解と浸透

1年ほど前の日誌(2005-02-14(Mon))で「リポジトリ(repository)」という言葉を日本語に翻訳する努力をすべきではないか、と書いた。

■[編集日誌]2005-02-14(Mon):

昨日の日誌にある「リポジトリ」という言葉だが、日本語に訳さなくてよいのだろうか。Repositoryは、集積所、貯蔵室、あるいは宝庫といった意味合いだが、日本での認知度ははてしなく低い単語だろう。すでに「NII-REO(NII電子ジャーナルリポジトリ)」「千葉大学学術成果リポジトリ」といった具合に実際に使われており、「学術機関リポジトリ」という言葉は、三省堂の「デイリー新語辞典」に収録されている。

「〔リポジトリ(repository)は容器・(資源・情報の)宝庫などの意〕

大学や学術機関が設ける,インターネット上の電子書庫のこと。論文や実験データなどの知的生産物を収集・蓄積・保存し,内外へ発信する。

〔海外では大学図書館を中心にしてシステムを構築する事例が増えており,日本でも普及が期待される〕」(デイリー新語辞典)。

2006-03-09(Thu): 若年層へ遡及する試み ?全国中・高校生歴史サミット2006「みんなで探ろう中世の城と町」

NHKの朝のニュースで一瞬耳にし、後で調べたところ、中央大学の文部科学省特定領域研究「中世考古学の総合的研究」で全国中・高校生歴史サミット2006「みんなで探ろう中世の城と町」を実施するという。中世の城郭や城下町について広く中学生、高校生の研究を募集し、優秀作は秋に行なわれるサミットに招待される。底辺の拡大・発掘という意味でよい試み。ぜひ応募作品をサイト上で公開してほしい。

・文部科学省特定領域研究「中世考古学の総合的研究」

http://www.abc-proj.jp/

・全国中・高校生歴史サミット2006「みんなで探ろう中世の城と町」

http://www.abc-proj.jp/contents/summit2006/

2006-03-10(Fri): 女性にとっての理系進学

内閣府男女共同参画局が「Challenge Campaign ?女子高校生・女子学生の理工系分野への選択」という事業を行なっていることを知る。女性に限らず、理工系の魅力を高めるためには何をすればいいのだろう? とりあえず、一つ思うことは研究の現場で「つらさ」だけを語ることをやめることだ。これは理系に限らず、学術研究全般にいえることだが、「つらさ」しか伝わってこないところに人は魅力を感じない。せめて、つらくても楽しい、つらいけれど楽しい、というメッセージを発してほしい。

・Challenge Campaign

http://www.gender.go.jp/c-challenge/

・内閣府男女共同参画局

http://www.gender.go.jp/