朝日新聞土曜版に掲載された「保護期間延長で、埋もれる作品激増? 著作権は何を守るのか」(be-on saturday, be Report、2005-07-17)が非常に良い。現在の著作権法改正論議のなかで進んでいる著作権保護期間の変更(作者の死後50年を70年に延長)について、問題点を浮き彫りにしている。特に「文筆家360人を大調査」と題して、インターネットを使った実態調査に力が入っている。詳しくは、記事を参照してほしいが、この調査では、インターネットで公開されているデータベースを使い、仮に著作権保護期間が20年延長された場合、紙媒体で入手が困難となる作品を割り出し、分類している。調査に基づいた報道という印象を受ける。インターネットに対する新聞界からの批判として、あるいはインターネットを活用しようとする新聞界に対する読者からの批判として、記者がインターネットに依存し、足を使わなくなるという指摘がある。しかし、足を使うというのは文字通り炎天下のなかを汗だくになって歩き回ることではないはずだ。もしそうならば、それは単なる精神主義に過ぎない。そうではなく、足を使うとは、取材先や情報源の主張をうのみにせず、記者自身が多様な方法で取材先や情報源の主張の正当性・妥当性を裏付けることだと私は思う。