2004-11-28(Sun):

法政大学大原社会問題研究所のメールマガジン「OISR-WATCH」がしばらく前に衣替えして、「OISR Website News」となった。法政大学大原社会問題研究所のサイトの新着情報を配信するという体裁。それはそれでよいのだが、ずいぶんとシンプルな誌面で奥付もないのはどうかな。別に「OISR Website News」に限った話ではないのだが、メールマガジンの基本項目のようなものを整備したほうがよいのだろう。

・法政大学大原社会問題研究所

http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/

過去5年ほど、公私に渡ってたくさんの博物館のサイトをみてきたが、その印象や存在感において、滋賀県立琵琶湖博物館を上回る博物館サイトをみたことがない。今日、あらためて「歩く宝石オサムシ?飛べない昆虫のふしぎ発見?」(仮称)のサイト(2004-10-28公開)をみた際に、あらためて滋賀県立琵琶湖博物館のサイトを歩き回る機会があったので、思ったことを書いておこう。

あえてひとことに集約してしまえば、「博物館活動紹介」のページにある「人びととともにと歩む博物館」が徹底して実践されているということだ。現在構想中の企画展の内容を企画展の開催に先行して公開する「歩く宝石オサムシ?飛べない昆虫のふしぎ発見?」はその最たる例だろう。だが、こうした比較的人々の関心を集めやすいシーン以外にこそ、琵琶湖博物館の徹底ぶりを感じる。たとえば、

・「来館者アンケートでいただいたご意見について」(2004-05-20)

http://www.lbm.go.jp/park/enqans04a.html

・「来館者アンケートでのご意見とそれに対する琵琶湖博物館の考え方」(2004-09-14)

http://www.lbm.go.jp/park/enqans04b.html

というページがある。来館者アンケート自体は、博物館によくあるものだ。その結果を公開することもそう珍しいことではない。しかし、寄せられた意見に対して「琵琶湖博物館の考え方や対応」を明記している点に注目してほしい。個々の記載内容の是非は、ここでは問題ではない。そうではなく、寄せられた意見に対してわれわれはどのように考えるのか、そしてどのように行動するのか、あるいは行動したのかを明示し、インターネットで公開していく姿勢には、「人びととともにと歩む博物館」に向けた歩もうとする琵琶湖博物館の決意がじゅうぶんに感じられる。来館者アンケートの結果を公開している博物館は他にもあるだろう。自分たちの考えや対応を示している博物館も他にあるだろう。しかし、インターネットでの公開にまで取り組んでいる博物館はどれほどあるだろうか。多くの博物館では、館内での掲出にとどまっていないだろうか。アンケートに回答する来館者は、熱心な博物館愛好者か、博物館に対して強い意見を持つ、あるいは来館して持った利用者が多いだろう。後者は二度とその博物館を訪れないかもしれない。そういった否定的感情を持った利用者に対して、アンケート結果と博物館側の見解は館内に張り出してある、といったところでなんになるだろうか。一度しか訪れないかもしれない利用者に向き合い、ともに歩んでいくことを突き詰めて考えれば、せめてものコミュニケーション手段としてインターネットで来館者アンケートの結果を公開することは当然といえば、当然のなりゆきだ。しかし、その当然のことを当然のこととして、実行できる博物館はごく限られている。それだけに琵琶湖博物館の姿が際立つのだ。

当然のことを当然のこととする際には、二つの方法がある。当然であるからこそ、あえてふれないという方法と、当然だからこそ、あえてふれるという方法だ。琵琶湖博物館はこの後者を自らの道として歩んでいる。その一端は、

・「リンクについての琵琶湖博物館の考え方」

http://www.lbm.go.jp/lnkplcy.html

に端的に現れている。

冒頭のまとめ部分だけを引こう。

「琵琶湖博物館のページをリンクする場合に、許可や承諾を得る必要はありません。連絡も不要です。

琵琶湖博物館は、リンク集の整備にあたって、いわゆる「相互リンク」の考え方を採用していません。

琵琶湖博物館が公開するリンク集への掲載要望については、今後の整備の参考にはさせていただきますが、必ずしも御要望に沿うとは限りません」。

ここで述べられていることは、考えてみれば、インターネット、ワールドワイドウェブにおいてはきわめて当たり前のこと、当然のことだ。しかし、奇怪という表現がぴったりとするくらい、日本の公共機関のサイトではこのようなことは述べられていない。いやそれどころか、国立科学博物館のように、堂々と

「当サイトのトップページ以外のリンクについては、担当研究官等の許可が必要となります」

・「サイトポリシー」の「2. 当サイトへのリンク」

http://www.kahaku.go.jp/policy/

と、うたっている機関すら珍しくはない。このようなはてしない、しかし空恐ろしい勘違いについては、いまはふれない。しかし、当然のことにふれるか、ふれないか、当然であるからこそ、あえてふれないのか、当然だからこそ、あえてふれるのか、その判断には、ときとして「寝た子を起こすな」というオトナな思慮が入り混じることだろう。だが、その瞬間の躊躇(ちゅうちょ)やためらいを超えて、当然のことだからこそ、あえてふれるという姿勢こそが、「人びととともにと歩む博物館」に求められる大きな要件であるはずだ。琵琶湖博物館に、この躊躇(ちゅうちょ)やためらいがあったのか、それとも元々そのような躊躇(ちゅうちょ)やためらい自体がなかったのかはわからない。だが、事実として当然のことにあえてふれてきた姿勢に、私は素直に感動し、また賞賛したい。

以下、参考までにその他の関連のあるページを紹介しておこう。読者の方々、特に博物館関係者や図書館関係者には目を通していただきたい。

・戸田孝「『リンクについての考え方』公表に至る背景について」(本誌第107号、2001-08-05)

http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/107.html

・戸田孝「リンクについての個人的な考え方」

http://www.biwa.ne.jp/~toda-m/lnkplcy.html

また、

・ファクシミリ情報提供サービスの運用終了について(2004-11-11)

http://www.lbm.go.jp/guide/faxsrv.html

といったページにも琵琶湖博物館の本領がうかがえるだろう。

また蛇足ではあるが、

・「琵琶湖博物館中長期目標(『地域だれでも・どこでも博物館』をめざして)」(2003-12)

http://www.lbm.go.jp/active/chuchoki0212.html

・「博物館活動紹介」

http://www.lbm.go.jp/active/activetop.html

・「琵琶湖博物館基本理念」

http://www.lbm.go.jp/active/idea.html

・「琵琶湖博物館活動方針」

http://www.lbm.go.jp/active/policy.html

にも目を通すとよいだろう。

これらの文書で、琵琶湖博物館はとりたててインターネットの利用を華々しくうたっているわけではないことに気づいてほしい。何を目的とするのか、琵琶湖博物館の場合でいえば、「人びととともにと歩む博物館」の実現という目的が明らかであるからこそ、手段といえば手段に過ぎないインターネットが、これらの文書に登場しないのではないだろうか。しつこいようだが、いやしつこくいうが、特に博物館関係者や図書館関係者は、自館の目的を思い出し、それがサイトを含めた館内外の自館の姿にどのように結びついているのか、いないのか、反映されているのか、いないのか、あらてめてふりかえることを切に願う。

そろそろ200号。ひそかにうれしい。やめようと思うことも多々あるし、それ以前に手が回らない状況になりつつあるが、それでも続けている自分にいちおう感心する。

おそるおそる一度オフ会なるものをやってみたいと思うのだが、参加してみようという方はどれくらいいるだろうか。