2006-10-11(Wed): 読了『グーグル・アマゾン化する社会』(森健、光文社新書、2006年)

『グーグル・アマゾン化する社会』(森健、光文社新書、2006年)を読み終える。GoogleやAmazonをやみくもに讃えるのでもなく、同時に一方的にこきおろすのでもなく、落ち着いたトーンで書名通り『グーグル・アマゾン化する社会』の実態と課題を描き出している。余談になるが、この書名は本書のなかでも言及されている『フラット化する社会』(トーマス・フリードマン著/伏見威蕃訳、日本経済新聞社、2006年)を意識したものだろう。一見、ベストセラーの模倣にみえるかもしれない。しかし、読み通してみると、本書のタイトルはこの『グーグル・アマゾン化する社会』しかなかったことがよくわかる。『フラット化する社会』で挙げられた課題やそこに通底するトーマス・フリードマンの問題意識を森健さんがいかに深く受けとめ、自分自身の問題関心に重ね合わせたかがうかがえる。余談ついでに正直にいうと、これまで著者の森健さんの文章、特にIT系を論じた文章にはとっつきにくさを感じたいたのだが、本書でそのイメージは完全に塗り替えられた。

さて、本書へのコメントにはもう少し日数をかけたいが、まだ読んでいないという方に向けて参考となるコメントを幾つか残しておきたい。

まず、森健さんが自分のブログで述べている

「ほかの良書とはちょっと違う視点があります」。

・「新刊案内『グーグル・アマゾン化する社会』」(2006-09-15)

http://blog.moriken.org/?cid=8648

という言葉はその通りといえる。IT関係の本として最近『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』(梅田望夫、ちくま新書、2006年)と『グーグル?Google 既存のビジネスを破壊する』(佐々木俊尚、文春新書、2006年)が話題で、この二冊が併読されているようだが、本書が刊行された以上、今後は『グーグル・アマゾン化する社会』を含めた三冊を併読することをすすめたい。『ウェブ進化論』でまず大きな流れを押さえ、『グーグル』でつぶさな状況を知り、『グーグル・アマゾン化する社会』で思索を深めるとよいのではないか。いずれも新書であり三冊そろえても2000円くらいであることを思うと、大学のゼミの初期段階で課題図書にするとよいと思う。

もう一つ、著者の森健さんの立ち位置に好感が持てる。冒頭に書いたようにGoogleやAmazonの感情的な礼賛や非難の書でないことはいうまでもないが、森健さん自身がGoogleやAmazonの驚異的なまでの便利さをよく知り、かつ冷静に評価している。同時にそこで終わらず、一歩立ち止まり、あるいは一歩引いてみて、その便利さをもたらす構造、そして背景に潜む課題をこれも冷静に論証している。ほれ込みすぎるあまり、論述の対象となるGoogleやAmazonに取り込まれてしまったかのような類書もみかけるようになったいま、これは貴重なことと思う。

・『グーグル・アマゾン化する社会』(森健、光文社新書、2006年、735円)

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334033695/arg-22/

・moriken.org(森健さんのサイト)

http://www.moriken.org/

・The Blue Note-Books(森健さんのブログ)

http://blog.moriken.org/

・「新刊案内『グーグル・アマゾン化する社会』」(2006-09-15)

http://blog.moriken.org/?cid=8648

・『フラット化する社会』上(トーマス・フリードマン著/伏見威蕃訳、日本経済新聞社、2006年、1995円)

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4532312795/arg-22/

・『フラット化する社会』下(トーマス・フリードマン著/伏見威蕃訳、日本経済新聞社、2006年、1995円)

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4532312809/arg-22/

・『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』(梅田望夫、ちくま新書、2006年、777円)

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480062858/

・『グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する』(佐々木俊尚、文春新書、2006年、798円)

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4166605011/arg-22/

【追記】

文中、一ヶ所、著者への「さん」づけが欠けておりましたので、修正してあります。森さんにつつしんでお詫びいたします。

当該個所:「森健さん自身がGoogleやAmazonの驚異的なまでの便利さをよく知り、かつ冷静に評価している」