神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」、「名所江戸百景」と江戸地震データベースを公開

神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」が「名所江戸百景」と江戸地震データベースを公開した(2007-02-20)。「名所江戸百景」は絵師・歌川広重の作品で1万人以上の死傷者を出した安政の大地震の数ヵ月後から出版された一連の名所絵である。このデータベースでは、江戸市中の地震の被害状況地図に歌川広重が描いた復興後の風景を重ね合わせている。見て楽しめるデータベースとなっており、制作陣のセンスが感じられる。欲をいえば、地図は現在の地図への切り替えができると、もっとわかりやすくなるだろう。

ただし、

従来の名所絵解釈とは異なり、地震と関係のある33点の名所絵を選び、その地点の地震被害および名所絵に描かれた震災の痕跡を解説します。

http://www.himoji.jp/database/

というねらいは必ずしも果たされていないのではないか。幾つか課題があると思う。一つは従来の解釈が示されていないので、このデータベースが示す新解釈の内容がわかりにくいことである。「名所江戸百景」には「地震の影響が色濃く反映されてい」るという解釈をもう少しわかりやすく示すことはできないだろうか。また、「名所絵に描かれた震災の痕跡」を浮き上がらせるためには、その痕跡が消えたさらに後年の絵図や写真があるといいのではないか。明瞭なコンセプトを持った非常におもしろいデータベースだけに、ついついさらなる一手を求めたくなる。

なお、「このデータベースの制作関係者一覧」として以下のようなクレジットが明記されている。

制作担当者

北原糸子・事業推進担当者(コーディネイト)

原信田實・2003年度共同研究者(『名所江戸百景』の解説)

中村操・研究協力者(安政江戸地震に関するデータ処理・震度分布図作成・地震解説)

クレジット記載の必要性をかねてから訴えているが、これは分担を示した好例だろう。

・「名所江戸百景」と江戸地震データベース

http://www.himoji.jp/database/db03/

・神奈川大学21世紀COEプログラム「人類文化研究のための非文字資料の体系化」

http://www.himoji.jp/

・「すべての学術資源にクレジットを入れよう」(編集日誌、2006-11-29)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20061201/1164907865