2005-04-03(Sun):

「季刊・本とコンピュータ」15(2005春号)を読む。ウェブ編集長日記によれば、

「出版という営みについて、狭い意味での「商業出版」という枠をはずして、とことん考えてみました。出版社以外による自主的な出版活動や、企業のメセナ活動のひとつとしての出版、インターネットをもちいたパブリッシングや、書店・古書店が本を売ることがもつ創造性など、切り口もさまざま取りそろえました。もちろん、商業出版の問題も欠かせません。いまや出版界を支える屋台骨になったマンガ出版の今後を討論したほか、特集全体の総括討論では、「出版危機」や「編集・出版論」についての著作をもつこの問題のキーバーソンに勢揃いしていただき、いま出版が陥っている危機と、そこからの出口について、深い部分から議論していただきました」

ということ。題して、「出版再考 このままでいいのか、わるいのか。それが問題だ!」。

「季刊・本とコンピュータ」は1997年の夏に創刊された。そして、2001年の秋号から始まった第二期「季刊・本とコンピュータ」は、2005年夏号で終刊となる。終刊に向けて、2004年秋号から「総まとめ特集」として一冊まるごと一つの特集を掲載している。

こういう事情を踏まえると、今回の「総まとめ」がほんとうに「とことん考えてみました」という結果、生み出されたものであるとしたら、それはほんとうに哀しいことだ。この一冊だけを取り出してみれば、決して悪くはない。現在の出版業界の状況を、部分的にではあれ、的確に描き出している。だが、書き手の広がりや議論の深まりはなんら感じられない。仮に議論が進んでいる印象を受けることがあるとしたら、それは錯覚だ。8年という時間の経過のなかで起きた出来事が議論に盛り込まれているに過ぎない。議論は深まらず、書き手も広がらないままだ。これで「総まとめ」とは物悲しい。残すところあと一回、2005年夏号の総まとめ特集「はじまりの本、おわりの本。」にかすかな希望をつなぎたいが、現実は厳しいだろう。

・2004年秋号:「「本」のために「コンピュータ」はなにができたか」

http://www.honco.jp/magazine/01_honco/13.html

・ウェブ編集長日記「終刊に向けて「総まとめ」特集スタート」(2004-09-09)

http://www.honco.jp/e_note/?period=2004-09

・2004年冬号:「日本人の読書習慣 消えたのか? 変わったのか?」

http://www.honco.jp/magazine/01_honco/14.html

・ウェブ編集長日記「総まとめ特集第二弾、テーマは「日本人の読書習慣」です」(2004-12-09)

http://www.honco.jp/e_note/?period=2004-12

・2005年春号:「出版再考 このままでいいのか、わるいのか。それが問題だ!」

http://www.honco.jp/magazine/01_honco/

・ウェブ編集長日記「あらためて「出版」について考える、「総まとめ」特集第三弾」(2005-03-09)

http://www.honco.jp/e_note/?period=2005-03

・本とコンピュータ

http://www.honco.jp/