2005-06-08(Wed):

季刊「本とコンピュータ」の終刊号が届く。最後のテーマは「はじまりの本、おわりの本。」。内容についてはいずれあらためてコメントしたい。ここでは終刊について一言だけ。ありきたりだが、感慨深い。個人的な話になるが、季刊「本とコンピュータ」が創刊された1997年は、私が大学を出て編集者になった年だ。斜陽産業といわれていることを十分にしりながら出版業界に入った私にとって、就職一年目の初夏に手にとった創刊号は、ずいぶんとまぶしい存在だった。だが、徐々にそのときの一種の興奮は徐々に冷めていく。それは私自身が出版業界に見切りをつけつつあったことによるところが大きい。だが、一部には、断片的に目撃した季刊「本とコンピュータ」のつくられ方への幻滅もあった。端的にいえば、人脈に依存した取材姿勢が端々に感じられたということだろうか。私は、これは、季刊「本とコンピュータ」の一貫した課題であったと思う。少なくとも私の場合、毎号毎号、書き手とその内容が読めてしまうようになるまで、そう時間はかからなかった。8年に渡る発行期間で、季刊「本とコンピュータ」は、どれだけの書き手を見い出し、送り出せただろうか。私の評価は厳しい。季刊「本とコンピュータ」から、さして書き手を送り出せなかったことは、季刊誌とはいえ雑誌という媒体としてはよいことではなかったとだろう。もちろん、何事にも例外はある。特に時折掲載された二木麻里さん、瀧沢武さんの記事は、ことのほかよかった。お二人ともすでに実績のある方々ではあるが、季刊「本とコンピュータ」という媒体で活躍してきたことは、少なくとも私のなかで、季刊「本とコンピュータ」が危うく同人誌に転落するところを救うものだった。語り出せばきりがない。もう一言だけ述べて、やめておこう。私が出版業界からIT業界に転じて6年。今回の終刊に至るまで、正直にいうと、継続して季刊「本とコンピュータ」に関心を持つことはなかった。年間購読を早々に辞め、書店の店頭でパラパラと立ち読みし、よほど気になった記事があれば買う。そんなものであったように思う。あくまで個人的な体験に根ざした、その限りでの発言に過ぎないが、やはり季刊「本とコンピュータ」は出版業界の、それもごく一部の世界のミニコミ誌でしかなかったのではないか。ミニコミ誌であることは別に悪いことではない。だが、出版業界からIT業界に転じた人間には、もう積極的な関心を持たれないような雑誌を津野海太郎さんをはじめとする創刊メンバーはつくりたかったのだろうか。一度どこかで聞いてみたい。

・季刊「本とコンピュータ」

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