2009-11-18(Wed): DESIGN IT! Conference 2009に参加?クラウドの信頼性についての小考察

今日は、メディア後援させていただいている

2009-11-18(Wed):

DESIGN IT! Conference 2009「クラウド時代のユーザーエクスペリエンス」

(於・東京都/ベルサール汐留)

http://www.designit.jp/archives/cat74/

にも参加した。

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基調講演は、Braden Kowitz(ブレイデン・コウィッツ)さん(Googleユーザーエクスペリエンス・リサーチャー)、Donal Mountain(ドナル・マウンテン)さん(Googleシニア・ユーザーエクスペリエンス・デザイナー)による「立ち込める暗雲?Web サービスとクラウドコンピューティングにおける課題をかんがみる」。

・立ち込める暗雲?Web サービスとクラウドコンピューティングにおける課題をかんがみる

http://www.designit.jp/archives/2009/10/keynote1.html

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なお、講演はGoogleとしての考えを示すものではなく、ユーザーエクスペリエンスの専門家としての考えを述べるものとの断りがあったことを記しておく。それを前提に以下をお読みいただきたい。

全般的にはクラウドコンピューティングの可能性を列挙しつつ、課題を示し、その課題をどのように解決していくかを述べていく展開だった。非常に印象的だったのは2点。

1つはクラウドの信頼性に関わるもので、コウィッツさんが通貨を例にして説明していた。元来は「貨幣」という言葉が示すように、通貨は貴金属という物質自体が価値を持ち信頼を得ていた。しかし、通貨は次第に「紙幣」に置き換わり、いまやモニター上に表示されるデジタル情報による残高が信頼を得るようになりつつあるというお話。ここから敷衍して、クラウドもいずれ通貨やそれを保障する銀行のように信頼を得ていくのではないかという見通しを示していた。

巧みな比喩ではあるが、現在のクラウドでは、銀行のような安心感を抱くことは難しいというとも思う。銀行の場合、万一銀行が破綻した場合でも、また破綻する前の段階においても、様々なセーフティーネットが張りめぐらされている。海外の銀行システムには詳しくないが、少なくとも日本の場合、銀行が破綻することを利用者はある程度想定してはいても、預貯金のすべてを失うとは思っていない。また、賛否の分かれるところだろうが、最終的には銀行業界や政府による救済をあてにしているところもある。貨幣という一元的な価値を信用に置き換えている銀行の場合、一定程度の信頼が成り立てば、第三者が救済に入ることはむしろ歓迎されるだろう(もちろん、銀行が保有しているのは、信用情報等のセンシティブな情報も多数あることはここでは脇に置く)。しかし、システムやデータ、特に様々な情報を保有するクラウドが、その提供企業が万一破綻した際、他の企業、あるいは政府の介入を誰もが歓迎できるだろうか。

この信用リスクを軽減するには、クラウド的なサービスを提供する事業者同士の持ち合いによる第三者機関を置くといった措置がなされない限り、クラウドが銀行並みの信頼を勝ち取るのは難しいのではないだろうか。そして、そのような協業による第三者機関の設置に向けて、クラウドサービスの提供事業者が足並みをそろえられるだろうか。お二人の説明に部分的に納得しつつも、釈然としない部分が残った。

もう一つ。これは広義のデザインの話。クラウド環境によって、ウェブにおいて動作することを前提にするサービスであればこそ、インターネットに接続していないオフライン環境での動作について最大限に考慮しなくてはいけないという指摘があった。実際、Gmailの開発にあたっては非常に熟慮した点という。この指摘には、ハッとさせられた。今後の自分の仕事でも十分に意識していこう。

・Togetter(トゥギャッター) - 「sugar_less」さんのまとめ

http://togetter.com/id/sugar_less

・「「クラウドの弱点」をGoogleのUX担当者が語った」(ASCII.jp、2009-11-19)

http://ascii.jp/elem/000/000/476/476790/

その後は、大向一輝さん(国立情報学研究所)による「論文をみんなの手に?学術情報サービスのユーザーエクスペリエンス・デザイン」

・「論文をみんなの手に?学術情報サービスのユーザーエクスペリエンス・デザイン」

http://www.designit.jp/archives/2009/10/session11.html

を拝聴。印象的な点をあくまでメモとして自分のTwitterでのつぶやきから拾っておく。

・「ウェブと学術情報サービスについて。ウェブ2.0以降のウェブの圧倒的進化によって、情報欲求のあり方が変わった」

http://twitter.com/arg/status/5819811360

・「最初にあたるのは図書館のような『情報の入れもの』ではなく、『情報そのもの』へと、『深く』探すから『広く』探すへ、そして『見えない』情報は、『存在しない』情報となった」

http://twitter.com/arg/status/5819830405

・「このような変化を受けて、サービス対象を非専門家に広げなければ、我々の存在意義が問われると考え、CiNiiはオープン化戦略をとることにした」

http://twitter.com/arg/status/5819846765

・「オープン化戦略の目的として、『可能性の列挙』『信頼性の担保』を掲げ、サービス本体とサービス間連携のオープン化を進めた」

http://twitter.com/arg/status/5819861930

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なお、このDESIGN IT! Conference 2009については、別途記事執筆を依頼している。11月30日発行予定のACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)第403号に掲載の予定。

・「2つのスポンサー?11月18日(水)開催のDESIGN IT! Conference 2009と、11月19日(木)、20日(金)開催のWebDB Forum 2009」(編集日誌、2009-11-15)

http://d.hatena.ne.jp/arg/20091115/1258286967