ARGカフェ&ARGフェストの設計

ARG カフェの設計

ARG カフェ&ARG フェストは、丸山眞男や黒木玄の問題提起に示唆を得て、様々な知識を持つ異質な人々が出会う場を創り出し、出会った人々同士のコラボレーションを促進することを企図している。このような目的を実現するためのイベントとして名刺交換会や懇親会といった催しがあるが、実際に多くの方々が知りあう機会になることは少ない。

特にすでに一定の知名度を持つ人が場の花となることはあるが、現時点において知名度が低い人やコミュニケーションに苦手意識を持つ人は、他人と知り合う機会が必然的に少なくなる。また、仮にコミュニケーションが円滑に進んでも、互いに未知の人物同士である場合、自己紹介から話を始めなければならず、限られた時間では多くの人と知り合うことは難しい。

ARG カフェでは、この問題を解決するためにライトニングトークを実施している。毎回参加者を約 50 名と見込み、そのうち 10名に自薦、もしくは依頼によりトークを担当してもらう。ライトニングトークは限られた時間ではあるが、逆にそのために簡潔にして要領を得た話が求められる。自分自身について、また自分の関心や活動について、聴衆がもう少し詳細を聞きたいと思う程度までしか、言わば話の導入部しか話せず聞けない 5 分という時間を設定することで、ライトニングトークの登壇者への聴衆の関心を高めることを狙っている。

このような名刺代わりの自己紹介としてのライトニングを行うことで、全参加者の 2 割が自己紹介を終えていることになる。ここで意図しているのは、参加者を二分することである。仮説としては、自己紹介を終え、かつ聴衆から関心を寄せられている 10 名と、自己紹介をまだしていない 40 名という 1 対 4 関係をつくりだされることになる。この狙い通りにいけば、続いて開催する第 2 部の ARG フェストに移行した際、ライトニングトークの登壇者 1 名に対して平均 4 名が自然と集まり、自己紹介や名刺交換を経て、聞き足りないと感じた点に関する質問を糸口にコミュニケーションが始まっていく。

ARG フェストの設計

以上の流れを受けて開催する第 2 部の ARG フェストは、立食形式であり、かつ飲み物をその都度カウンターで購入するという形式を重視している。
着席の懇親会ではしばしば見られることだが、椅子とテーブルがあると参加者の席の移動が難しく、最初に着いた席を離れることは難しい。仮に席の移動が可能であったとしても、その場の雰囲気を阻害しないように席を立つことは容易ではない。だが、立食かつキャッシュオンデリバリー式が基本的なスタイルとなっているパブの場合、そもそも席という概念がないため、いま自分が加わっている話の輪から出て、別の話の輪に加わることがはるかに容易である。

また、飲み物を飲み終えると、自分でカウンターに足を運び注文をしなくてはいけない仕組みであるため、お代わりの注文を口実に話の輪を離脱できる。通常、ARG フェストは 2 時間の開催となっており、おおむね飲み物を2 回程度再注文することになる。つまり、最初に加わった話の輪から離脱し、別の輪に加わることが 2 回は可能となり、合計で 3回別々の話の輪に加わることが可能である。

1 つの輪が平均して 5 名程度で構成されるとすれば、自分をのぞき各 4 名、合計12 名と 2 時間の間にコミュニケーションを図ることができることになる。このような仮説に基づき、ARG フェストは設計されており、一般的な名刺交換会や懇親会等の催しよりも、他の参加者と密なコミュニケーションが行え、その結果、その後に続く関係が構築されやすく、所期の目的である参加者間のコラボレーションの促進につながると考えている。