私はいつも屋根を見上げるー駆け出し国際協力NGOスタッフだった時の出来事【広報担当のARGな日々】2016-10-31

「日本人のお前に何が分かる」

現場監督が私をにらみつける。

もう15年も前の話、私は国際協力のNGOのカンボジア事務所で図書館事業のコーディネーターをしていました。カンボジア事務所には図書館事業課の他に学校建設事業課がありました。

学校建設課は名前の通り、カンボジアの小学校の建設を行っていました。

忘れもしない北京オリンピックを前に、カンボジアでも建設資材費の高騰が止まりません。それどころかカンボジア中の鉄が中国に流れたため、資材自体がないこともありました。

計画予算書を作った数カ月前よりも価格が高騰することが明らかになったので、どこを削るのかを考える会議を建築のエンジニアや現場監督と行うことになりました。

図書館事業課も、図書館建設の予定をしていたので私が出席することに。

サイズを小さくするか、素材を変えるか……1円でも安くなるところはないかと、みんなで議論を重ねます。

でも教室のサイズは教育省の指定があるので小さくできない、素材を変えると耐久性が確保されない。

その時、私はあるものを見つけたのです。

それは屋根についている、白い「ぴょこっ」と出ていたオブジェでした。

何百ドルかにはならないけど、数十ドルにはなるかもしれないと思ったのです。

カンボジアの学校

その発言をした時に、言われた言葉が冒頭の「日本人のお前に何が分かる」でした。

びっくりしている私に、カンボジア人の建築のエンジニアが私のそばに来て耳打ちしました。

「さちさん、あれは蛇神・ナーガです。建物の守り神なのですよ」と。

子どもたちの未来を見守るためにも、あのナーガは外せないのです。

その時に思いました。

その国の国民にとって何が大切かをきちんと知る必要があるのだと。

日本だって部屋の上に神棚がある。日本橋高島屋本店や銀座の三越の屋上にだって神社がある。

それから私は、建物の屋根を見るようになりました。

目に見えないくらいの天界ではないけど

目に見える、その先には、その建物を、その町を見つめている神様がいるんだと。

今日、写真を整頓していたら、とある自治体の家の屋根にぴょこっと出ているものを発見。

これもその土地の神様なのかな?

そして今日も私は上を見ながら、歩くのです。